開発担当が語る新製品
CFRP加工用スミダイヤ
コーティングエンドミル
AVIX型/AVIX-F型
航空機部品加工に最適な形状を開発 高能率加工を可能に
課題が多いCFRP加工のお悩みを解決したい
航空機部品には軽量・高強度が求められます。その代表的な素材がCFRPです。髪の毛よりも細い炭素繊維を束にして樹脂で固めた複合材であり、昨今では最終製品の性能向上に応じて炭素繊維の強度が上がっています。 繊維が切断しにくく加工が難しくなるなかで、「より高能率に加工したい」というお客様の要望が高まっていました。「高能率加工をすると、高い切削抵抗が原因で高価なCFRPのワークが不良になる」とお悩みは深刻です。 そこで、一刻も早く課題を解決し、お客様の生産性向上に貢献できる工具を開発しようと動き出しました。
切削抵抗低減に新たな形状を開発
お客様からのご要望は「送り速度を500mm/minから2,000mm/minへ上げても安定して加工できるエンドミル」でした。そこで切削抵抗の低減を目指し、まったく新しい発想で開発したのが「複合クロスニック形状」です。 大小2種類の半円形の溝(=ニック)を組み合わせた形状は、住友電工独自のものです。この形状は右にねじれた切れ刃が回転し、ワークを加工する際の力のバランスをとって振動を抑え、切削抵抗を低減します。 さらに小さなニックにより、左下に押さえつける作用点を増やすことで高能率加工でも安定します。
もうひとつの開発テーマが、高品位・長寿命です。これまでもCFRP加工にはダイヤモンドコーティングの工具が使われてきました。しかし、工具の先端は膜が厚く根元に向かうほど薄くなっていくため、根元で削ると工具寿命が短くなるという課題がありました。 そこで膜厚を均一にする新技術を開発しました。さらに、シャープな刃先にすることで、安定した工具寿命と高品位な加工が可能になりました。こうして誕生したのが高能率加工用AVIX型です。
量産工場と連携し、試作・品質保証に挑む
今回の開発において最も重要だったことは、当社独自の複合ニック形状の確立でした。当社にはニック形状の知見がなかったため、一からの開発となりましたが、解析技術を活用してニック形状やねじれ角などの最適解を効率的に導き出し、開発期間の短縮を図りました。 また、前例のない形状における品質保証には製造現場の視点が不可欠です。そこで開発初期より、当社の量産工場と連携し、試作評価の段階から量産性と品質保証の点を意識して、新たな品質保証方法の枠組みを構築しました。 その結果、お客様に安心してお使いいただける製品にすることができたと考えています。
また、薄板加工用途についてはさらなる振動抑制による安定加工ができるよう、AVIX型で開発した複合ニック技術をベースとした多刃化での形状開発に取り組み、AVIX-F型を拡充しました。
高能率加工を実現 お客様から高い評価
AVIX型をお使いいただいたお客様からは「高能率で加工できるようになって、生産能率が驚くほど上がった」と、高い評価をいただいています。加工精度が求められるなかで「高品位と長寿命化が実現して驚いた」という声もいただき、開発者としてうれしい限りです。
薄板のCFRPを加工されているお客様には、AVIX-F型の採用で能率が4倍になったと大変好評です。以前は、まず切断加工を入れてから仕上げのパスを入れる2パスかつ、送り速度は500mm/minでしたが、 現在は送り速度1,000mm/minの1パスで加工ができると高評価をいただいています。
航空機のみならず、自動車、半導体、医療分野でもCFRPの活用が広がるなか、多くのお客様に貢献できる工具だと自信を持っています。今後もお客様のご要望に細やかにお応えできるようラインアップの拡充を進めていきますので、どうぞご期待ください。
※ こちらの記事は2026年に公開されたものです。
今回ご紹介した製品の詳細は下記よりご覧いただけます。