住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治、以下 当社)は、小型旋盤用低抵抗ポジティブG級チップブレーカ「SL型ブレーカ」を開発し、9月に販売開始します。

自動車、電子部品、医療をはじめとした産業で使用される小径精密部品の切削加工では、その用途により高い加工品位が求められることが多く、広い領域の切削条件において、バリ*1・びびり*2・加工面不良を抑制し、加工の高品位化を実現できる工具へのニーズが高まっています。

当社はこうしたニーズにお応えし、旋削加工における仕上げから中切削領域において、優れた切れ味により高い加工品位を実現する、小物部品加工用G級ポジティブ3次元チップブレーカ*3「SL型ブレーカ」を開発しました。

「SL型ブレーカ」をG級ポジティブ3次元チップブレーカシリーズのラインアップに追加したことで、さまざまな加工トラブルの解消に貢献します。現在販売中の、安定した高い切りくず処理性を発揮する小物部品加工第一推奨の「SI型ブレーカ」、微小切削で切りくず処理性能を大幅に高め安定した切削加工を実現する「FF型ブレーカ」、厳しい条件での切削加工で耐欠損性に優れる「SC型ブレーカ」とともに、用途に応じて使い分けが可能となり、さまざまな加工ニーズに対応、小物部品加工のソリューションを提供します。

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1.特長

(1)広い切削領域で加工の高品位化に貢献できる優れた切れ味
切りくずの流れをスムーズにしつつ、広い切込み条件で切りくずをコントロールする突起と、シャープな切刃形状により、切込み3.0mm以下の切削領域で低抵抗な切削が可能になっております。そのため、小物部品加工で生じやすいバリ・びびり・加工面不良、加工精度不良等の加工トラブルを防止し、高い加工品位を実現します。

(2)スムーズな食い付きを実現する切れ刃設計
SL型のチップブレーカ設計は、切れ刃を大きく傾斜させつつ突起形状を最適化することにより、被削材への食い付き時の刃先への負荷低減が可能です。それにより被削材への食い付き回数の多い加工や振動切削において良好な切削性能を発揮します。

 (3)3種のインサート材種をラインアップし、さまざまな被削材に対応
小径精密部品加工に最適な高品位な刃先を有し、鋼、ステンレス鋼など、さまざまな被削材で優れた加工面品位を実現するAC1030Uに加え、需要が増加している耐熱合金や高硬度材など難削材加工に最適なAC5015S/AC5025Sの3材種をラインアップ。高い切りくず処理性と長寿命を両立します。

2.ラインアップ

旋削用G級ポジティブタイプインサート 42型番

3.販売計画

初年度 0.7億円/年

2年後1.2億円/年

4.価格

当社従来品と同設定

(標準品)DCGT11T302MN-SL (AC1030U)  2,750円(税抜)




*1 バリ
加工工程にて製品の縁 (へり) などにはみ出したりしてできる余分な部分。

*2 びびり
加工中に工具と切削物の間で発生する振動のこと。設備や被削材、工具の剛性が低い場合、切削抵抗が大きい場合に発生しやすい。

*3 チップブレーカ
切削加工で発生する切りくずを処理するために設けられた工具先端の溝や障壁。



以上